月刊オールベルグ

金田一とか、色々

金田一少年のオススメ事件簿

前回、金田一少年の事件簿がどういう感じのものか?という記事を投稿させていただいた。

 

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そちらの記事の方で何から読んだ方がいいのか等を述べさせていただいたが、「何でもいいから面白いの読みてえ!」って人のためにも、今回は現在文庫版で出ているエピソードの中でも私的なオススメエピソードをいくらかピックアップさせて頂こうと思う。

正直、金田一少年の事件簿は絞るのも結構迷うくらいに面白いエピソードばかりなので苦心の末に絞ったチョイスでもあるのだが、ご了承の上読み進めて頂きたい。

 

 

File02 異人館村殺人事件

「友人の結婚式の為に青森の六角村に訪れた金田一達が欠損したミイラになぞらえた連続殺人に遭遇する」というお話。

前回の記事を読んで頂いた人の中には、「File1~4の事件の中で、なんでFile2だけ初心者にオススメしてないの?」と疑問に思った方もいらっしゃったかもしれない。

この事件、正直なところ2番目のエピソードにしてかなりの問題作である。

歴代屈指のグロテスクな死体描写、諸々の問題が引き起こされたトリックのあれこれ、歴代屈指にヤバい犯人、歴代屈指の死亡者数、見るからに怪しい奴、インランレズババア 

などと、ヤバい所を挙げるだけでも枚挙に暇が無い。実際、主に先に挙げた2つの問題でアニメ化もされてない事件である。

しかし、金田一ファンとしては、一度は読んで貰いたい事件がこの異人館村殺人事件なのだ。禍々しく残酷な雰囲気の中に秘められた悲しき愛情の物語、狂気と悲哀が鮮明に描かれた犯人のドラマ、その先に待ち受ける誰も報われぬ結末、果敢に犯人に立ち向かう金田一など、とにかく濃厚な事件。トリックの印象も含め、ファンの間では語り草になる事も多いエピソードだ。

 

 

File06 悲恋湖伝説殺人事件

「ひょんな事から開発予定のリゾート地、悲恋湖リゾートに招待された金田一と美雪が連続殺人鬼ジェイソンの起こす連続殺人に巻き込まれる」というお話。

 

歴代屈指のヤバい犯人(2人目)

顔を潰された死体、妙に個性的な登場人物達、とんでもない真犯人の動機と狂気、驚きのトリックと、良くも悪くもインパクトが強すぎる事件。一方で何故犯人は殺人を犯すのか、何故金田一は謎に挑むのかといった部分にも焦点が当てられた事件でもあり、ラストシーンにおける金田一の出した答えは非常にカッコいい。

少年漫画としての金田一の面白さが全面に押し出された事件。

 

 

File09 飛騨からくり屋敷殺人事件

「剣持警部の幼馴染みからの依頼によってくちなし村に向かった金田一が"首狩り武者"の起こす事件に巻き込まれる」というお話。

閉鎖的な村で起こるおどろおどろしい事件や跡継ぎ争いといった、どちらかといえば金田一耕助のほうに近いテイストのエピソード。

事件の裏に隠された愛憎は壮絶の一言。印象的なトリックや真相もあって、人気の高い事件である。

 

 

File10 金田一少年の殺人

「殺人事件の容疑者となってしまった金田一が、警察に追われながらも仲間達の力を借りて事件の真犯人に辿り着く」というお話。

 

金田一が犯人として追われる、という衝撃的な事件。そんな極限の状況下であっても、持ち前の頭脳を駆使して警察から逃亡しながら真相を解明していく金田一の姿にはハラハラさせられる事間違いなしだ。

明智との対決、剣持達との信頼、金田一が美雪に送った粋なサプライズ…などメインキャラ達も勢揃いする豪華な事件。

 

 

File12 蝋人形城殺人事件

「バルト城という古城で開催されたミステリーナイトに参加した金田一と美雪が、蝋人形と同じように殺されていく本物の連続殺人の謎に挑む」というお話。

 

舞台が本格的なミステリーイベントだけあって、事件自体も本格的。容疑者もミステリー関係者ばかりに加えて、あの明智警視も参加するなど強者揃い。そんな中でも金田一と犯人との最後のやり取りが自分の中では特に印象的。犯罪というものの果てに待っているのは、誰も幸せにならない悲しい結末だけなのだ。

 

 

File13 怪盗紳士の殺人

「ラベンダー荘を舞台に名画を狙う怪盗・怪盗紳士と金田一との推理対決、そして殺人事件が巻き起こる」というお話。

 

一癖も二癖もあるキャラクター達によって二転三転する展開や、金田一と怪盗紳士との駆け引きが楽しめるエピソード。しかしその先に待ち受けるのは非情な結末…

全体の高い密度に対しての完成度が驚く程高く、金田一の冴え渡る推理もたっぷり楽しめる黄金期の傑作。

 

 

File15 魔術列車殺人事件

警察庁に届いた"地獄の傀儡師"を名乗る人物からの脅迫状に導かれ、列車・銀流星号と死骨ヶ原ホテルを舞台に、マジシャン達を狙った殺人事件が引き起こされる」というお話

 

正直なところ、この記事を見に来る人の半分くらいがもう犯人を知っている・読み始めた辺りで犯人が分かるのではないかという懸念がある事件。金田一に興味がある人なら、恐らく5割程度が地獄の傀儡師の正体を既に知ってしまっているのであろうではなかろうか。

日本ミステリ漫画界において一番有名な犯人である自信が十分にあるくらい、犯人の人気や重要度は高い事件。

犯人をまだ知らない人は羨ましいくらいにラッキーなので、是非とも優先してこの事件を新鮮な気持ちで楽しんで頂きたい。マジックをテーマにした鮮やかなトリックや展開はとても楽しい。たとえ犯人を知ってても楽しめる事件なので、金田一少年の事件簿を読み深めていく上では是非とも読んでいただきたい事件だ。

 

 

File23 雪影村殺人事件

「かつての友人の死を聞きつけた金田一が、数年振りに訪れた村で起こった仲間達の死の謎に挑む」というお話。

 

とにかく切なく、淡い物語。金田一といえば残酷だったり怪人が出るという印象が強いだろうが、この事件に関してはそれらの要素がかなり控えられている。

容疑者が全て金田一の友人であり、その事件に金田一ただ一人で挑むという異色作。郷愁的な雰囲気に溢れた舞台で描かれるかつての友人との再会。そして時の流れとすれ違いが生んだ悲劇。人間模様を描いた、未だ色あせることのない名作だ。

 

 

File25 露西亜人形殺人事件

 「人気ミステリー作家の遺産相続ゲームに参加することになった金田一達が、そこで巻き起こる連続殺人に宿敵"地獄の傀儡師"も交え挑む」というお話。

 

第1期シリーズも終盤に差し掛かった辺りの大事件。遺産相続を巡った容疑者達による推理バトル、宿敵"地獄の傀儡師"との推理バトルや濃いゲストキャラにインパクトのある犯人などとにかく盛り上がる要素が目白押し。解答編へのどんでん返しは必見。そして事件の先に待ち受けるのは更なる悪意であった…

 

 

File29 獄門塾殺人事件

「宿敵"地獄の傀儡師"によって手がけられた学習塾で起こる連続殺人に、金田一明智警視がタッグを組んで挑む」というお話。

 

地獄の傀儡師の手によって動かされる事件に、明智との共同戦線で挑むというアツい布陣で描かれる第2期シリーズの目玉事件。2つの合宿所を舞台に金田一明智のダブル視点で描かれる大長編。仕掛けられたトリックも盛り沢山なので、とにかく楽しみたい方にはもってこいの事件だ。

濱さんがシコい。

 

 

小説版1 オペラ座館・新たなる殺人

「かつて金田一達が訪れ殺人劇の舞台となったオペラ座館にて、再び繰り広げられる連続殺人」というお話。

 

シリーズ最初の事件、オペラ座館殺人事件の続編。再び殺人劇の舞台となったオペラ座館で明かされる、あの事件の謎。そしてファンからの人気も高い犯人の気高さ・生き様が見所。オペラ座館を読んだら是非読んで欲しい。

 

 

小説版3 電脳山荘殺人事件

パソコン通信を通じて結成されたミステリーサークル『電脳山荘』のロッジの中でのオフ会で起こる連続殺人に、金田一と美雪が巻き込まれる」というお話。

 

不朽の名作。

パソコン通信という文化がそこまで主流ではなかった時代に、これ程までにミステリーに盛り込み、尚且つ最高に面白いというのはやはりすごい。空想とリアルの相違によって描かれる人間関係に、小説版であることを最大限に活かしたギミックなど、とにかく金田一である事抜きにしても完成度が高い。

また、犯人・被害者・容疑者、すべての心理描写も丁寧に書かれているのは小説版ならでは。金田一に触れたことがなくても、とにかく手にとって欲しい一品だ。

 

 

いかがだったであろうか。

 

やはり全然オススメしきれない。

 

首吊り学園とかタロット山荘とか天草財宝とか黒死蝶とか鬼火島とか本当はもっともっとオススメしたい事件があったのだが、そこら辺は自分達の手でタイトルなりで気になった事件に手を付けてみたりして頂きたい。悲恋湖と異人館ホテルと首吊り学園は出来るだけ早めに読んでおいた方がお得

長編だけでなく、短編集なんかに手を出してみるのも十分アリ。一度手を伸ばしたらやみつきになる金田一ワールドに是非浸かってみよう。