月刊オールベルグ

金田一とか、色々

金田一少年の事件簿を読んでみよう!

金田一少年の事件簿

 

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名前だけなら聞いた事ある!という人が多い作品であろう。

 

恐らく多くの人は推理漫画といえば?と聞かれたらコナン君の次に思い浮かべ、また多くの人は堂本剛を思い浮かべ、また多くの人は松野大紀の声をなんとなく思い浮かべるであろう。(今の世代だと山田涼介くんだったりも思い浮かべるかもしれない。)

 

しかし、金田一少年の事件簿を一体どれだけの人が読んだことがあるのか?

みんななんとなくグロい・クズが死ぬ・明らかに怪しいのが出てくるって印象しかないのではないか?

なんとなく題名からして複雑そう、本格的そうって印象があるのではないか?

 

そんな読んでない人にも、はたまた少し・途中までしか覚えてない・読んでないよって人の為にも僭越ながら金田一少年の事件簿の魅力を伝えたいと思います。

 

 

そもそも金田一少年の事件簿って?

 『金田一少年の事件簿』とは、原作:金成陽三郎天樹征丸キバヤシという名称のほうが伝えやすいだろうか)、作画:さとうふみやを原作とする漫画作品である。 

週刊少年マガジンにて1992年より連載され、現在ではイブニングにて20年後の世界を描いた『金田一37歳の事件簿』が連載中であるこのシリーズ、ストーリーの構成は実にシンプル。

 

名探偵の孫である金田一一が、怪人を名乗る犯人の起こすあらゆる難事件に遭遇し、持ち前の推理力と発想によって、事件を解決し真相に辿り着く。

 

たったこれだけである。

基本各長編がオムニバス形式で書かれたストーリーは、特定のエピソードを除いて、物語を通しての謎といった縦軸となる要素があまり存在せず、どの事件から読み始めても楽しむことが出来るという非常に入りやすい特性を持っている。

物語を構成する主要キャラも

金田一一七瀬美雪、剣持警部、(たまに)明智警視、(たまに)高遠遙一

であり、これに容疑者やゲストキャラを加えたのが大体のお話の人物構成。(いつきさんとか速水玲香とか佐木とかいった準レギュラーもいるが、そこまで把握しておく必要もない)

明智と高遠の登場頻度を考えると、実質的には主人公の金田一、ヒロインの美雪、警察の剣持の3キャラクターが主軸の構成と言ってもいい。このメインキャラ5人(3人)を把握しておけば、金田一少年の事件簿を読み始める上での準備は殆ど出来たといっても過言ではないだろう。

 

登場人物

 

金田一 一(きんだいち はじめ)

永遠の不動高校2年生。普段はどこか冴えない普通の高校生だが、その正体は名探偵・金田一耕助を祖父に持つIQ180の天才児。ジッチャン譲りの推理力によってどんな事件も解決に導く名探偵である。

探偵とはいうものの、悪知恵と推理力以外にはこれといった取り柄が存在しない普通の少年。そんな彼だからこそ、たとえ犯人であっても悲しみを分かち合い、感情を突き動かすのがこの物語の魅力といってもいいだろう。

実は未成年で飲酒やタバコなんかも嗜んだり、毒キノコを盛るなど時々シャレにならんこともやらかすが、それは昔の話…

 

七瀬 美雪(ななせ みゆき)

金田一の幼馴染み兼同級生の正ヒロイン。

成績優秀・(基本)お淑やかな性格・ミステリー研究会部長、演劇部員、生徒会長を兼任と、金田一とは対照的なハイスペックヒロインであるが、そんな彼女と金田一のコンビは最強と言っても過言ではない。的確なサポートによって金田一の推理を毎回支えてくれる、金田一にとってなくてはならない存在なのだ。

美雪たんマジ天使

 

剣持 勇(けんもち いさむ)

肉体派の警視庁警部であり、金田一の最大の理解者。堂本剛のドラマ版を見ていた人達には有能なイメージがあるかもしれないが、原作ではパッとしない推理力の持ち主。それでも熱い義理人情に溢れるオッサンであり、積極的に金田一を助けてくれる剣持がいるからこそ金田一は最高のコンディションで推理に望める。彼もまた金田一にはなくてはならない存在なのだ。

 

明智 健悟(あけち けんご)
警視庁の警視であり剣持の上司。
金田一にも劣らないレベルの推理力を持ち、テニスも乗馬もバイオリンもフェンシングもハッキングも飛行機の操縦も何でも最強レベルに出来てしまうすげー奴。
初登場の「雪夜叉伝説殺人事件」ではそれはもう嫌な奴であったが、金田一と出会った事によってクールながらも優しさに溢れた性格に変化していく。

金田一とはお互いライバル視しつつ、何だかんだ良い関係であり、剣持同様頼もしい協力者である。
短編シリーズで彼を主役としたストーリーが展開されることも多い。

 

高遠 遙一(たかとお よういち)

ある事件を境に、ごくたまに事件に、そして金田一に絡んでくるマジシャン兼犯罪コーディネーター。時には巧みな変装によって意外な形で事件に溶け込み、時にはやる気のあるか疑わしい変装によって露骨に事件に紛れ込む、たまに影で犯人を操る存在。

他人の復讐に力を貸し、「芸術犯罪」を演出しようとする愉快犯であり、失敗した犯人は始末する冷酷さも併せ持つ。事件を作り出すことに快感を覚える、金田一とは決して交わらぬ平行線の存在であり、この作品における数少ない縦軸の要素である。

ぶっちゃけると魔術列車殺人事件が初登場。

 

どこから読めばいいの?

金田一少年の事件簿は全27巻のFileシリーズ、全7作のCaseシリーズ、全8作の第2期シリーズ、全5巻の20周年シリーズ、全14巻のRシリーズに分けられる。

もし中古本を買うなり漫画喫茶などで置いてある環境にあれば、Fileシリーズの1巻から順に読むのが一番好ましいのだが、個人的にオススメしたいのは文庫版のシリーズ。

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基本となるシリーズであるFileシリーズのコミック版はエピソードが連続して展開されるため、途中から読みにくい・揃えにくいといった欠点が存在していた。

しかし文庫版は1巻ごとに事件が完結しているため、気になる事件からつまんで読んでみるといった揃え方が出来る。基本オムニバス形式の金田一少年には適した形式で展開していくのである。

現在File~第2期までの事件が文庫化されているが、その中でも金田一を初めて読んでみるという人にオススメしたいのが

・File1 オペラ座館殺人事件

・File3 雪夜叉伝説殺人事件

・File4 学園七不思議殺人事件

の3つ。

最初の事件であるオペラ座館は、剣持との出会いや後に展開していくオペラ座館シリーズにも繋がる重要なエピソード。

雪夜叉伝説は明智警視・速水玲香といった後々まで出てくるキャラの初登場、豪快なトリックといった見所が詰まっている。

そして学園七不思議殺人事件、ドラマでもアニメシリーズにおいても最初のエピソードとして放映された話であるが、それだけあってか「恐ろしい怪人に推理で立ち向かう高校生金田一」という金田一の根幹のフォーマットが実に整って出来た秀作である。推理の難易度も易しめなので、是非とも入門編に読んでいただきたい。

 

原作ばかり紹介してきたが、「オペラ座館・新たなる殺人」「電脳山荘殺人事件」といったノベルスシリーズも非常にオススメしたい。

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原作を少し読んでからの方がキャラのイメージはしやすいが、推理小説に慣れた方なら小説版であるこちらから入ってみるのもいいと思う。こちらも文庫版で出ており、どれも本編と変わらぬ雰囲気やフォーマットで構成された非常に読みやすく、完成度の高い事件が目白押しだ。

 

長々と説明したが、短編集といった読みやすいシリーズも文庫化されているので、各自気になった事件から入っていくのが一番いいだろう。

(ただ、魔術列車殺人事件と悲恋湖伝説殺人事件は少し早めに読んでおいた方がいいかも…?)

 

結局金田一の魅力って?

金田一少年の事件簿の魅力というのはひとえに説明しずらい。金田一はコナン君のように特別な道具も持ってないし、推理だけでなく格好良いアクションも見せてくれるわけでもない。黒の組織のような巨悪に物語を通して立ち向かっていくわけでもない。(高遠?あいつ一人だし…)

金田一一はたとえ偉大なジッチャンを持っていても、ただの高校生なのだ。

そしてそんな金田一が常に立ち向かうのは、怪人という皮を被っていようが同じ人間、犯人ただ一人なのだ。

 

金田一と対峙する犯人は、みな計り知れぬ悲しみ・怒り・衝動・使命に突き動かされた人間ばかりであり、誰もが己の中の怪人に突き動かされ、殺人という許されない行為に手を染めてしまう。

殺人とは無縁の筈だった普通の人が、なぜ殺人鬼になってしまうのか。金田一ではそれが何話もかけた事件を通して鮮烈に描かれていく。金田一とそう年の変わらない少年少女が殺人を犯す時だってある。

正義感の強い金田一は当然犯人のやったことを許せないし、激しい怒りを燃やすこともある。しかし金田一という一人の少年は、許せない筈の犯人の思いに時に共に悲しみ、時に諭し、時に激しく説得する。犯行後の犯人に面会に行くことだって少なくはない。

彼は最後まで犯人という一人の人間に寄り添うのだ。

 

そして彼はどんな状況になっても、己の頭脳を信じ、果敢に謎に挑み続ける。

悲恋湖伝説殺人事件というエピソードのラスト、金田一と美雪は「2人とも死にいく状況の中、どちらか一人が助かるとしたら」という話をする。その時金田一が迷わず出した結論はこうであった。

「俺だったら・・・考えるだろうな。二人とも助かる方法をさ!」

彼は決して考えることをやめない。最後まで諦めずに、目の前のものに立ち向かっていく。そんな彼の泥臭さにどうしても自分は惹きつけられてしまうのだ。

 

そうした犯人や金田一というキャラだけではなく、単純ながら他にも魅力は沢山存在する。

普通に推理をしていくのもいいし、犯人の動機を予想していくのも毎回の楽しみだ。そうした先に待ち構えるトリック・真相に驚愕するもよし、予想を的中させるもよし、「お前それは流石に無理あるだろ!」ってツッコむのもよしだ。

毎回登場するクセのあるゲストキャラを楽しむのもいいだろう。顔の良いイケメンイケおじや可愛い女性キャラが次々と登場していく。準レギュラーや特別な場合でない限り、基本再登場はしないので、気に入ったキャラが出たら噛みしめるようにそのエピソードを堪能しよう。僕の推しは獄門塾殺人事件の濱さんです。

また、金田一は割と推理しやすい。連続殺人だから難しいんじゃね?って思う人もいるかもしれないが、金田一が色んな証拠に気付いたりヒントを出してくれるため、彼の言動を追っていれば、あとは少しの発想力と推理力で、素人であっても犯人が誰かやトリックに気付いたり出来ることも少なくはない。名台詞の「ジッチャンの名にかけて!」は問題編終了、「謎は全て解けた!」はそれまでの描写で犯人もトリックも特定できる合図と受け取ってもらっていい。

こうした「読者にも推理を楽しんでもらう」ことをモットーにしている金田一は、ミステリの入門編・入り口としての側面も持つ。金田一で推理脳を鍛えた後は本格派ミステリーを楽しんでみる、なんてのもいいだろう。

 

最後に

正直自分の文章力じゃ魅力を伝えきれません。

どのエピソードもどんな受けとめ方をするか人それぞれだと思うし、一人一人で好きな事件が違ってくるのが金田一少年の事件簿という作品だと思います。原作ばかり述べてきましたが、アニメやドラマから入っても全然良いですし各人お好みの方法で金田一ワールドに入っていくのが一番いいと思います。最近abemaで配信やってるしね。

一度手を出したらドンドンハマっていく金田一少年の事件簿、まだ手を出してない方は思い切ってどれか一事件でも読んでみて、まだ最近のとか読んでないよって方は未読の事件を読んでみるってのもいいのではないでしょうか。

 

そしてあわよくばゲストキャラのファンアート増えてくれ!!!!